本院は、特定行為研修指定研修機関として厚生労働大臣から指定を受け 2020年度から徳島県内の看護師を対象に看護師特定行為研修を開始しました。 本院は特定機能病院であり、高度急性期医療におけるチーム医療の充実、 また、地域医療を支えていく看護師の育成を目指し、研修の実施並びに 臨床での特定行為実践を行っています。
徳島大学病院看護師特定行為研修センターでは、2020年度より看護師特定行為研修を開始しています。特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力および判断力並びに高度かつ専門的な知識および技能が特に必要とされる38行為です。研修を受講する看護師はまずe-learning システムによる医学の基本的な知識について学習し、徳島大学病院の専門の医師・薬剤師・看護師による実習や議論を行い知識の醸成を深めていきます。その後、手技について動画での解説や実際にシミュレータを用いて専門の医師による指導を行います。12月にOSCEと呼ばれる実技試験を行い合格すれば、各施設で実際に患者さんへの説明と同意を得たうえで実技を実践し、基準を満たせば合格となり、特定行為を行うことができます。受講生は1年間、病院で働きながら当センターで学びます。
ここで学ぶことは、看護師として看護学を学び、日々の医療現場で看護を実践してきたことと異なり、医学の視点から、医師の目線で医療行為を診ることを学び実践できるようになることです。そのことは病院での医療の質を高め、安全管理上大変重要です。また、それぞれの現場の看護師の中心的役割を担い、同僚や後進の看護師たちの手本となり、医療の質を最前線の現場から上げてもらうことを期待しています。
これまで過去3年間で19人の修了者を輩出しています。徳島大学病院のみならず徳島県内の医療機関の看護師も含まれています。徳島大学病院の修了した看護師はICUやHCUで重症患者のケア、手術室で麻酔科医とともに周術期の患者のサポート、一般病棟で質の高い医療行為の実践と幅広く病院全体の医療の質向上のために活躍しています。当センターでは県内の医療機関とも連携を取りながら、受講生が受講しやすい環境のお手伝いや研修修了者の活躍の場の提供なども考えて実践しています。徳島大学病院のみならず徳島県の医療機関の医療の質向上にお役に立てるようがんばっています。当センターは徳島大学病院や大学以外の医療機関の多くの先生方にもご協力をいただいています。この場を借りて深くお礼を申し上げます。
麻酔科 教授 田中 克哉
当院は、高度急性期医療を担う特定機能病院です。複雑な合併症を有する多くの高度急性期患者さんが入院しています。急性期分野では、多様な臨床場面において患者さんの状態は変わりやすく、急性期分野の各診療科で、病態生理・臨床推論・身体診察などのフィジカルアセスメント能力を高め、より高い知識技術を備えたうえで看護実践が行える看護師の育成が求められています。
徳島大学病院看護師特定行為研修センターは、2020年5月に開講いたしました。延べ19名の特定看護師が誕生し院内外で活躍しています。本研修では、チーム医療のキーパーソンである看護師が、医療安全に十分に配慮し、医療現場において、高度に臨床実践能力を発揮できるよう、自己研鑽を継続する基盤を構築しています。研修は、「術中麻酔管理」「外科系基本」「救急領域」の3つ領域別パッケージ、「創傷管理」「血糖管理」の2つのコース、15の特定行為区分といった受講生のニーズに応じて、希望に沿った形式で開講しています。本領域は、当院の強みを活かした教育体制を構築できます。良き理解者である多数の先生方の熱意とご協力を頂きながら研修を実施しています。また、特定行為研修修了生から専門性の高いサポートを受けることができます。受講生のスキルアップやキャリア支援だけではなく、研修修了後の患者さんに対するきめ細やかなケアによる医療の質の向上、他スタッフへ指導を行うことのよる波及効果などメリットがたくさんあります。一人でも多くの看護師の皆様に当院の看護師特定行為研修に興味を持って頂けるとありがたく思います。
私達は、徳島大学病院看護師特定行為研修センターで、看護と医学の両方の視点を持った新たな看護のプロフェッショナルを育成できることを誇りに思い、皆様や、所属病院の高い志に添えるよう環境を整えてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
看護部長 上田 美香
看護師特定行為研修センターは、研修室とミーティング室があり、研修や面談などいろいろな用途に沿って使用しています。 また、研修室には、受講生が個別にいつでも学習できるよう、WiFi環境下でパソコンを設置するなど、利便性を考慮しています。 さらに、センター前に掲示板を広く確保して、ポスターなどで特定行為研修についての広報を行ったり、大学のスキルスラボと連携をとり、リアリティの高い実習ができるよう学習環境を整えています。
徳島大学スキルスラボと連携し、それぞれの特定行為に応じて、必要なシミュレーターを準備しています。 単なるスキルのトレーニングだけでなく、行為に伴う全身のアセスメントや高度な臨床判断力を養うことを重要視した シミュレーターの活用を心がけ、質の高い特定行為実践能力の向上をサポートしています。